ホンダのスーパーカブが今年で生産累計台数1億台を突破するという。来年には誕生以来60年の「還暦カブ号」になる。小排気量ながらパワフル、耐久性と経済性で高い人気を誇る。ものづくり大国日本を象徴する話題である▼なのに東芝、日産、神戸製鋼、スバルといった、日本を代表する名門企業で偽装や隠蔽、ねつ造といった不祥事がとまらない。「メイド・イン・ジャパン」の金看板が地に堕ちていく▼東芝は不正会計が発覚、巨額損失に飲み込まれそうだ。日産は燃費不正に続き無資格者による完成検査偽装で、本当に「やっちゃえ、ニッサン」になった。神戸製鋼はアルミなどの品質管理データを改ざんし、JIS規格を剥奪される。スバルも検査偽装だ▼誠実さ、確実な品質、製品の信頼性によって世界の称賛を得てきた日本。各企業ともコンプライアンス欠如が指摘される。法令順守は当然、社会規範に反することなく公正、公平に業務を遂行していたか▼企業だけではない。森友・加計学園問題も官僚による忖度(そんたく)というコンプライアンス違反▼では、まさかの隠し撮りはどうだろう。社会規範に反していないか。市民の幸せのために働くべき市役所で撮られたやりとりもさることながら、その音声と動画記録があることが衝撃的だ。どっちもどっちか。(慶田盛伸)
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