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オスプレイ緊急着陸に抗議

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 ■一歩間違えば大惨事

 先月29日から、新石垣空港にエンジントラブルで緊急着陸していた米軍普天間基地所属のオスプレイが4日、6日ぶりに飛び立った。

 中山義隆市長は4日の離陸前に「原因究明と再発防止策の徹底を沖縄防衛局を通して米軍に申し入れを行うが米軍への直接抗議は現段階では考えていない。原因究明の内容を確認したうえで対応したい」と発言していた。

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すると表明。また、富川副知事が2日、外務省沖縄事務所の川田司大使や沖縄防衛局の中嶋浩一郎局長を呼び「県民に不安を与え、米軍の安全対策への大きな疑問を抱かせた」と批判。「事故やトラブルが起きるたびに原因究明や飛行中止を求めているが、十分な説明がないまま飛行を行う米軍と容認する日本政府の姿勢に怒りを禁じ得ない」と怒りをあらわにした。

 それに対し、中山市長の消極的な姿勢に市民から批判が高まっていた。

 ところが、5日、中山市長は中嶋沖縄防衛局長が米側からの事故内容の説明に訪れると一転、「着陸は予防措置とはいえ緊急着陸となった事案は、一歩間違えば近隣の住宅地に被害を及ぼしかねない重大な事案であり、市民に衝撃と不安が広がっている」「オスプレイの安全性への懸念は完全に払しょくされていない」「新石垣空港へのオスプレイの緊急着陸により民間航空の運航の支障、情報開示の遅れにより市民の不安を招いたことに強く抗議し、徹底した原因究明、早急な公表、安全運航の管理の徹底、具体的な再発防止策を速やかに策定し公表するよう要請する」と文書を手渡した。

 前日とはうって変わった抗議や要請に驚きである。選挙を意識してとの声もあるが評価すべきだろう。

 一方、沖縄防衛局による米側の説明は新聞報道の域を出ず、「本件を踏まえて引き続き、日々の整備、点検をより一層確実に行い、飛行の安全に万全を期していく」と記している。

 市民へ不安を与えたことや空港が40分閉鎖し民間機が遅延した事への謝罪はない。

 ■事故多発のオスプレイ

 オスプレイは構造上の欠陥などが識者から指摘されている。米海軍安全センターが3日公表したオスプレイの重大事故は、昨年12月名護市安部海岸に墜落し5人が負傷、ことし7月アメリカノースカロライナ州で墜落し1人死亡2人負傷。8月オーストラリア沖で墜落し3人が死亡。9月シリアで2人が負傷するなど4件も重大事故が発生している。

 国内や県内では昨年12月うるま市津堅島沖に着水、ことし6月伊江島補助飛行場に緊急着陸、8月山口県岩国基地で機体から白煙をあげた。十分な整備点検も行われないまま飛行し、大分空港に緊急着陸した。このように機体のトラブルも相次いでいる。

 にもかかわらず米軍は飛行させ、日本政府が容認している。人命より国防優先の施策だ。防衛省の石垣市への説明文書もこのことを如実に示している。

 ■自衛隊基地建設の再考

 市長の要請文にあるように「一歩間違えば近隣住宅に被害を及ぼす」危険性は高い。自衛隊基地建設がなされた場合オスプレイや大型ヘリの飛来が常態化される可能性が高い。

 基地建設予定地周辺には集落があり、石垣島の水がめであるダムが3カ所もある。事故でも起きれば取り返しのつかない大惨事は自明である。

 オスプレイの機体不良による着陸を教訓として自衛隊基地建設計画の再考を促したい。


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