選挙終了翌日、本紙が集計した出口調査の結果で見えてきたものがあった。それは敗れた大浜長照氏が、なぜ60代以上の高齢者から50—70%台もの支持を集めたかということだ▼そこには同世代ということだけでなく、米軍基地問題で沖縄の要求を無視する一方、集団的自衛権行使などでかつての「戦争できる国」へ突き進む改憲タカ派の安倍政権に対し68年前の戦争を知る世代として、ことのほか不安と危機感を強めていたことがある▼確かに今の政治家は、安倍首相も中山義隆市長もほとんどが戦争を知らないし、他の若者も同様愚かな戦争への想像力も乏しく、好戦的な政治家も少なくない▼そういう右傾化の中で「中山が勝てば安倍強権政治に弾みをつけ、石垣をはじめ沖縄やこの国がどうなるのか」という不安が、従来は保守系の高齢者も革新の大浜氏に駆り立て、公明も約3割が回った▼結果は周知の通り、「反戦平和では飯は食えない」と経済振興や子育て支援を重視する50代以下の青壮年から中山氏が若さや行動力なども評価され、大差で再選された▼中山市長が言うように選挙が済めば市長は全市民の代表だ。今の政治状況に対する高齢者たちのこうした懸念や思いも中山市長はしっかり受け止め、「戦争再び」に進まないかじ取りをお願いしたい。(上地義男)
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