■沖縄に希望持たせる選挙
森友・加計疑惑から逃げ切りを図ろうとする安倍首相のわが身かわいさの解散で10月は突然選挙の月になった。しかも今回の総選挙は安倍政権への対抗軸として、小池新党と民進党が合流して「希望の党」が誕生したが、この結果この国は「保守2党体制」となって安保法や憲法改正に反対するリベラルな国民にはむしろ希望の持てない、ますます危うい国になってきた。
民主主義が健全に働くには既に「安倍一強政治」に見られるように、数の暴力でない多様な意見が必要だ。小池新党に否定的な民進党リベラル派で結成される「立憲民主党」や共産、社民などにこの国への希望を持ちたい。
沖縄も現政権、新党のどちらが勝つにしてもいずれも「辺野古移設」推進であることから厳しさに変わりはないが、それだけにこの選挙を好機として22日は、前回同様4選挙区すべてで勝利。あらためて「辺野古ノー」の沖縄の強固な民意を政府に突き付けたい。
それによって民意を踏みにじって進める政府の工事を止める知事の埋め立て承認撤回の弾みとし、加えて自民の議席減で安倍首相退陣となれば状況が変わる可能性も出てくる。今回も変わらぬ沖縄の強固な民意を突きつけることで新基地阻止に希望が出てくる。
■オスプレイの恐怖石垣にも
何度も死亡事故を起こすなど、欠陥機と批判される米軍の垂直離着陸輸送機オスプレイの恐怖が先月29日、突然この石垣を襲った。エンジンオイル異常で新石垣空港に緊急着陸し、2機のうち1機は10月に入った今なお不気味な機体をさらしている。
これに知事は憤ったが中山市長は米軍に抗議どころか遺憾の意すらない。オスプレイの普天間配備には5年前、市長はじめ県内全市町村が保革を超え反対した。それが今は日米政府を妄信しオスプレイは安全と見ているのか。
しかし今回の緊急着陸で本島の基地問題が決して人ごとでなく、自衛隊が入れば500~600人の迷彩服姿の自衛官や自衛隊車両、自衛艦に加えて米軍艦や危険でうるさいオスプレイ、ヘリも自由に石垣に出入りし、極めて軍事色の強い島になることは市民の大多数が容易に想像できただろう。
9月市議会で自衛隊配備推進の自民市議から配備反対の署名運動に対し、「お花畑に住む平和ボケ」などの暴言があったが、これも自分たちの想像を超える署名数への焦りの裏返しか。
しかし署名はそれだけ自衛隊反対や市長への反発を示すものであり、市長や自民市議は反対勢力を見くびると今回の衆院選や来春の市長選で思わぬしっぺ返しに遭うかもしれない。
■メディアは権力に屈しない
10月も赤い羽根募金など多彩な行事が多いが、私たちには「新聞週間」が足元を見つめ直す大きな行事だ。近年は権力が強引さを示す一方でメディアが権力におもねる傾向がみられる。
特に「安倍一強」の再び戦争のきな臭さが漂うこういう時代だからこそ、メディアはかつてのように決して権力に屈してはならない。それには記者一人一人が政府の抗議や殺害の脅しにも屈しない東京新聞の女性記者のように、国民や市民の知る権利のために権力が嫌がる質問を避けるべきでない。