友人が子育てでこぼしている。彼の父は分限者として知られていた▼暮らしは質素倹約を旨とし子どもたちにも節約を説き必要以上の小遣いを与えなかった。金の貸し借りは身内にも厳しく保証人にもならなかった。クレジットやローンを信じず支払いを現金でする代わりに値引きを楽しんでいた▼友人が続けて言う。そんな祖父の血を受け継いでいるはずなのに息子ときたら金銭感覚ゼロで、困ると家内に泣きつき無心してくる。先日もカード会社から90万の返済を迫られ助けてくれの電話▼都会で20万そこらの給料で高額家賃を払い加えてこの借金、一体全体どうなっているのかと問いただしたら「買い物で、月々の支払いを定額の一万円、後は繰り延べの返済でというリボ払いを始めたら、いつのまにか残高が利息で膨れ上がってしまった」との由▼「この返済を軽くしようと銀行のカードローンを利用し工面をしたら余計詰まって火の車、何とかして」と返済催促電話の非情さを訴えてくる。「全て祖父を鑑にしなかったお前が悪い、懲りて反省、もう二度と安易な借金はしない、毎月の収入に見合った暮らしをすると誓うなら」と確約させ尻ぬぐいしたとのてん末▼彼の父が生きていたら融資付きカードの類は「親切を装った高利貸し」と糾弾するのでは。(仲間清隆)
↧