昭和の遠い日。高校の頃、中間・期末試験を終えた午後の、あの何とも言えない解放感が好きだった。社会人となった土曜午後の「半ドン」も懐かしい。半ドンは昭和の、バブル期の「花金」は平成の死語だ▼プレミアムフライデーが始まった。月末の金曜日は午後3時までに仕事を終え、豊かな時間を過ごそうという国肝いりの取り組み。低迷する消費にテコ入れする狙いがあるが、どこかピントがずれていないか▼案の定、休めた人は4%足らず。沖縄県内や八重山では縁がなかったようだ。「忙しくて休めない」という声が多く、テレビが伝えるニュースにも「わじわじフライデー」だったか▼「ブラック企業」や「過労自殺」がきっかけの「働き方改革」というけれど、国が本気になって改革すべきは他にあるだろう。非正規雇用の解消、暮らしていける給与水準の確保。これらは、若者世代が結婚して子どもを生み、育てていくための当たり前の環境づくりだ▼県内では週休2日さえ確保できない事業所もある。給与水準は全国最低。解決すべき課題はあまりにも多い▼それでも、たった2時間などとみみっちいことを言わず、せめて半ドン、そう「金ドン」めざして開き直るぐらいがいいのでは。浸透しそうもない「プレ金」は「現代の死語」になるのかも。(慶田盛伸)
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