真乙姥(まいつば)御嶽の第17代神司、前里慶子さん(73)が5日、18代目に引き継ぐ儀式「神首尾」を、新川字会(入嵩西純会長)の役員立ち会いのもと拝所で執り行った。神司として御嶽の祭事を取り仕切った25年間を振り返るとともに神に感謝をささげ、めいの東濵あけみさん(52)を第18代神司として紹介した。前里さんは「今日の日を元気に迎えられたのも神様のお守りのたまもの。引き継ぎができるのでホッとしている」と話した。東濵さんは11日、「神開き」という儀式を行い、神司職をスタートさせる。
真乙姥御嶽は、15世紀末ごろに没したとされる、八重山石垣村の有力酋長・長田大主の妹の真乙姥を祭事としてまつった御嶽。
前里さんによると、神司は代々、字新川の黒島家の父系親族の女性が世襲しており、以前から18代目は東濵さんにとのお告げがあったという。
東濵さんは18歳で上京して以来、東京暮らし。10年前に帰省したとき、後継者かどうか確かめる「証拠願い」を前里さんとともに同御嶽で行ったところ、「言葉では例えられないものを感じた。前里さんに神様に喜んでもらった合図だと言われ、私だと確信した」と決意。子ども3人を成人するまで育てた後、3年前にUターン、前里さんの指導を受けてきた。
前里さんは、神首尾の神事で「25年間お務めさせていただき、心から深く感謝します。神様のお導きで新川の年中行事ができ、何人何百人の人助けができた。新川の繁栄、健康をいつまでもお守り下さい。東濵さんを一人前の司として育つようお導き下さい」と祈願。儀式後、「ホッとした。あけみちゃんには責任をもってやってもらいたい」と激励した。
東濵さんは「責任重大で怖い。方言も難しいので、神に仕えることができるか自問自答しているが、少しでも前里さんに近づけるよう、神司が途絶えることがないよう、責任を果たしていきたい。神の声に気づき、意思疎通ができるよう頑張りたい」と気を引き締めている。
前里さんは今後も東濵さんをサポート、一人前になったと判断した段階で「隠居願い」を行い、正式に神司職を退くことにしている。