三市町で構成する八重山ビジターズビューロー(YVB、高嶺良晴理事長)は16日午後、東京都にある11の有人島の観光協会や行政で組織する東京諸島観光連携推進協議会(田村真吾会長、会員45人)と石垣市商工会ホールで意見交換を行った。双方の離島で人手不足による観光従事者の減少で観光産業の停滞を招きかねない実態が浮き彫りになる一方、離島独自の魅力を発信して新たな観光客層の取り込みを推進することの重要性などを確認した。
■ブーム後に激減
伊豆諸島や小笠原諸島を抱える同協議会は離島観光の先進地視察として初めて来島。同協議会によると、11の島々を訪れた昨年の観光客数は全体で約45万人。東京諸島の離島ブームがピークだった1973年ごろは140万人を誇っていたが、来島客は激減している。
一方、島々の抱える問題が顕著に表れているのが人手不足から波及する観光従事者の減少だ。
100〜8000人の島民が住む2町7村の島々にはホテルが少なく、宿泊施設は民宿が基本。経営者のほとんどが高齢となり、世代交代が進まず閉業するケースが増えているという。同協議会の会員は「受け入れ数の縮小で観光客が来島しないという悪循環が島の過疎化を加速させている」と指摘する。
事務局を務める東京諸島観光連盟の植松正孝専務理事は「若年者の観光従事者を育成して45万人の観光客数をどう持続できるか。今回の視察を通して自然体験だけではなく、八重山の島々の文化や島民との触れ合い、食事などを観光客目線で感じたい」と期待した。
■新商品のヒントに
意見交換会には市観光交流協会と竹富町観光協会、県八重山事務所や石垣市と竹富町の担当者も参加。東京諸島を訪れる欧米客や香港など東南アジア客にバードウオッチングや釣りなどが人気となっていることから、「八重山の新たな観光商品として取り入れたい」(YVB事務局)と新たな観光商品の創出にヒントを得た。
市観光交流協会の高倉大事務局長は「東京諸島の立地条件は八重山よりも不利だが、認知度を高める工夫をしている。人手不足など八重山と同じ悩みを抱えており、離島として共通する情報の共有ができた」と述べた。
一行は18日まで、石垣や竹富、西表などに宿泊しながら観光施設などを視察する。田村会長は「離島観光のトップランナーの八重山諸島から観光に対する島々の連携や満足度の向上などの取り組みを学び、双方の関係を築きたい」と意欲を示している。