【那覇】八重山地区歯科医師会(10医院)の砂川和徳会長は20日午後、県庁に仲井真弘多知事を訪ね、県立八重山病院に歯科診療科(歯科口腔(こうくう)外科)の早期設置を要望した。仲井真知事は「3年後の新八重山病院開院以前に可能かどうか、庁内でいろいろ検討したい」と述べ、設置に取り組む姿勢をみせた。歯科口腔外科が設置されると、手術のために本島に行かずに済むなど、専門的な口腔ケアが受けられ、八重山の歯科医療の向上が期待されている。
砂川会長は「口腔ケアの充実は寝たきりになる確率がかなり減る。宮古島には数年前に設置されており、八重山郡民の利益につなげるためにも医療の格差是正をお願いしたい」と強調。2685人の署名簿を手渡し、仲井真知事に早期設置を要望した。
設置に際しては、診療の補助の上でも在宅療養や介護との連携の重要さを指摘。必要不可欠な職種として「歯科衛生士」の配置も強く求めた。
同席した県病院事業局の伊江朝次局長は「できることから一日も早く取り組めるようにしたい」と述べた。
砂川利勝県議は「(歯科口腔外科設置は)政策的な予算でしっかり対応してほしい」と知事に要望した。
八重山には23の歯科医院や診療所(竹富町2、与那国町1、非会員含む)がある。
対応が困難な症例は本島の歯科口腔外科を紹介するなど家族の身体的、経済的な負担が大きい。実際に家族への遠慮から受診を拒否したため、病状が悪化し悲惨な結果になったケースもあったという。
歯科口腔外科の設置は34年前に八重山病院が開院した際に計画されていたが、医師が確保できずに断念した経緯がある。