関連事業を加えると約760億円規模の巨大プロジェクトとなる国営土地改良事業「石垣島地区」は、2014年度着工に必要な同意取り付けに向けた準備が本格化している。受益農家は3900人余。石垣市と石垣島土地改良区(理事長・中山義隆市長)が各地区で説明会を開催、農家の理解を得る作業に入っている。土地改良法は3分の2(約67%)の同意を定めるが、市と改良区は「95%(約3700人)」を目指す。同意率の高さで地元の熱意を伝え、事業の必要性をアピールする考えだ。
同事業は、これまでに整備された施設が老朽化して維持管理に支障をきたしているため改修を行うほか、新規地区での施設整備を行う内容で、14年度から12年間を予定。新規編入で島内全域に農業用水を提供できるようになる。内閣府沖縄総合事務局土地改良総合事務所石垣支所の當銘俊明支所長は「効率的な農業の展開ができるようになる」と話している。
石垣支所が担う国営で約281億円、県や市、土地改良区が区画整理かんがい配水を行う関連事業で約480億円が見込まれている。国営事業での農家負担はなく、関連事業の区画整理事業でのみ2—4%の負担がある。
国営事業はダム水利施設、揚水機場、配水池、幹線水路などの改修を行い、用水路の改修で55㌔、新設で50㌔にも及ぶ。石垣島地区が運用されると、畑4073㌶、田265㌶に農業用水を提供することになる。
同意取り付けは2014年1月から開始。これに向けて市は、新規編入する区域での説明会をほぼ終えた。土地改良区は、過去に実施された地域の農家を対象に25日からスタートさせる。石垣支所によると、3月末ごろには農家の代表18人が同意書を添付して事業申請。8月までには計画が確定する予定という。