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Channel: 八重山毎日新聞社
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昭和から平成にかけて一時代を築き「小さな

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 昭和から平成にかけて一時代を築き「小さな大横綱」として国民的人気を博した九重親方(元横綱千代の富士)が亡くなった。61歳での旅立ちである。名横綱「本当に早過ぎる」と惜しむ声が各界から絶えない▼身長183㌢、横綱になっても体重125㌔前後と小兵。持ち前の負けん気の強さと並外れた闘争心、丹念な四股で足腰を強化した。引き締まった体は肩の筋肉が厚く盛り上がり、褐色の肌にはつやがあった▼正攻法で巨漢力士に挑む小兵の相撲に革命を起こした取り口は圧巻だった。一瞬の立ち合いから鋭く踏み込んで左前まわしを引き、一気に勝負にでるスタイル。豪快な上手投げ、横綱の中の横綱相撲はファンを魅了した▼九重親方は「ウルフ」の愛称で絶大な人気を誇り、四股で足があれほどきれいに上がる横綱土俵入りは見事だった。日本中を熱狂の渦に巻き込んだ53連勝を筆頭に史上3位の31度優勝など数々の記録を残し、角界で初めて国民栄誉賞も受賞した▼引退会見で目を潤ませて発した「体力の限界」の一言に続き「気力もなくなり、引退することになりました」との言葉。一つのことを成し遂げたあとのむなしさを知った顔のようであり、感動したことが思い出される▼昭和という時代が、また一段と遠くなった感じがする。ご冥福を祈りたい。(鬚川修)


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