八重山警察署(前田達史署長)がまとめた2016年上半期(1〜6月)の路上寝込みに関する通報は、前年同期比32件増の354件となり、09年以降で最多となった。同署は、年間の統計で最多だった15年の701件を上回るペースにあるとみている。路上寝込みは、酒を飲む機会が多い夏場に多発する傾向にあり、窃盗被害も懸念されるため、同署では適切な飲酒を心がけるよう、強く呼び掛けている。
16年上半期の路上寝込みに関する通報354件のうち、土日が179件と半数を占める。通報から路上寝込みが確認された350人の内訳は男性336人、女性14人と男性が圧倒的に多い。年齢別では、30代が90人と最多で、20代65人、50代64人などと続く。
路上寝込みに絡み、ことし3月中旬には、美崎町内で寝ていた男性のそばにあった現金が入ったかばんが盗まれ、6月中旬には、字石垣内で男性のポケットから財布が抜き取られる被害があった。
上半期ごとの比較では、新石垣空港が開港した13年に243件、翌年の14年に319件と急増。観光客や島外から来た工事関係者による路上寝込みも目立ちはじめ、件数を押し上げる要因になっている。
路上寝込みは、罰則がある道路交通法に違反する可能性もある。同署地域課の船道安広課長は「八重山は路上寝込みが県内でも多い地域」と強調。その要因には「車が少なく、帰る家との距離も近い人が多い。そのため、『いつでも帰れる』という考えの人が多いのではないか」と分析している。
防止策は「一番は酒を飲む本人の意識の問題」と前置きした上で「酒席をともにした友人や知人、仲間だけでなく、酒を提供する店側も泥酔しそうな人がいたら帰宅を促すなど対応してほしい」と求めた。