日本人の200人に1人と言われ、人口当たりの比率が少ないRhマイナス血液型について県立八重山病院(依光たみ枝院長)は29日、緊急時の輸血に備え、献血協力者リストの作成を開始した。今年4月、Rhマイナスの女性が大腸出血で来院した際、輸血する血液がなく、止血しながら本島の血液センターからの空輸を待った経緯がある。患者らは「いつでも輸血できる体制をつくってもらいたい」とリストへの登録を呼び掛けている。
仲松キミ子さん(64)=登野城=は今年4月、午後11時ごろに来院。大腸出血と分かったが、Rhマイナス血液の備蓄がないため、病院側は血漿(けっしょう)で血圧を維持しながら止血し、血液センターから翌朝届いた血液を輸血した。
血液の有効保存期間は3週間となっており、数が少ないRhマイナス型は備蓄が難しく、血液センターに頼ることになるが、緊急に輸血が必要な出血性ショックの患者には間に合わないケースも想定される。このため、事前にリストを作成し、電話などで献血への協力を呼び掛ける体制を整えておく必要があるという。石垣市内のRhマイナス型は理論上、約240人と推定される。
玉城和光副院長は「命に関わる問題だったが、八重山にはRhマイナスの血液を集める手段がない。これを機にリストをつくり、必要な場合には助け合う体制をとりたい」と話し、八重山地区医師会の上原秀政会長も「登録しておけば何かあったときに互いに助け合える」と必要性を強調する。
仲松さんの夫、正博さん(68)は「病院のスタッフのおかげで命が救われたが、妻が緊急の手術で輸血が必要となった場合、心配でならない。いつでも輸血できる体制をつくり、安心して医療を受けられるようにしてもらいたい」と願っている。
リスト登録の窓口は1階のちいき連携室(83―2525)。