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Channel: 八重山毎日新聞社
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2005年10月31日、沖縄市野球場で

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 2005年10月31日、沖縄市野球場で行われた第117回九州地区高校野球大会準々決勝のシーンが忘れられない。伊志嶺吉盛監督率いる八重山商工は1−3とリードされ、最終回の攻撃に入った▼土壇場での逆転サヨナラ勝ち、八重山初の甲子園出場をつかんだ瞬間だった。震える手でシャッターを押し続けたが、ファインダー越しにのぞくナインの姿は涙でぼやけた。あの興奮は今も鮮明だ▼その後、ナインの甲子園入りから同行したが、試合以外でも印象に残ることがあった。強豪校との練習試合を取材しているときだった▼伊志嶺監督は、少年野球時代から”鬼監督“として有名。ずっと疑問だった。選手が萎縮するのではないかと。ところが、強豪校の監督らは伊志嶺監督の比ではなかった。なんとなく伊志嶺監督が優しく見えてきたのである▼浦和学院のコーチに疑問をぶつけると、こんな答えが返ってきた。「失敗したら厳しく怒られる。そんなプレッシャーに勝たなければならない。高校野球は一度負けたら終わり」。叱責(しっせき)はプレッシャーを与える手段だったのか、と感心させられたのを覚えている▼伊志嶺監督の勇退に当たり、いろんなことが思い返された。筆者にとっても、甲子園での取材は貴重な財産となっている。(比嘉盛友)


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