立松和平さん、筑紫哲也さん、佐木隆三さんというように、ここ数年、八重山と関わりの深い著名人の訃報が続いている。先日11日は「いしがき市民大学」の初代学長を務めた永六輔さん(享年83)の悲報が届いた▼市民大学は「文化でまちおこしを」と2001年から4年間続いた。当時永さんは沖縄でもラジオ番組を担当しており、その縁で学長を引き受けていただいた▼永さんといえば放送作家、作詞家、タレント、ラジオのパーソナリティーとしてマルチに大活躍中の有名人だっただけに、反響は大きかった▼石垣には10回近く訪れたが、いつも若いスタッフらを気遣い、明るく楽しい人だった▼一方で、同氏もまた10代での戦争体験から平和への思い入れが強い人だった。60年安保闘争では若手文化人らと「若い日本の会」を結成してデモに参加。近年はオスプレイや辺野古反対の沖縄の建白書に賛同、「戦争をさせない1000人委員会」の呼びかけ人にもなっていた▼同委員会は、安倍政権が南西諸島に自衛隊を配備するなど憲法9条を空文化して本格的に戦争体制を進めているとして「人間が人間を殺し合う戦争はもう絶対にしてはならない」と発足した。しかし残念ながら参院選の結果は、永さんらの懸念が現実になりそうな、さらなる危険ゾーンに入った。(上地義男)
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