新空港の開港からやがて1年になる。LCC(格安航空会社)が就航し、航空会社間の競争で運賃は劇的に安くなった。1万円で往復でき、本島へ行く機会も増えた▼航空運賃が下がったことで観光客も大幅に増加し、ホテルなど宿泊施設も息を吹き返した。レンタカー会社も空港近くに集中、夏場のピーク時にはものすごい数のレンタカーを見るようになった▼ところがすべて万々歳というわけではない。あれほど熱望していたコンテナ搭載中型機の東京直行便が運航しても、年間の一時期をのぞけば貨物はガラガラで飛んでいる▼郵便局や輸送業者の一般取り扱い貨物は、基本的に那覇経由とされているためだ。那覇で一括集中仕分けをしたほうがコスト安になるというわけだが、せっかくある直行便の貨物が、空に近い状態で運航しているのは実にもったいない▼東京直行便の中型機は、マンゴーやパイン、マグロなど3~7月の最盛期には、5~6㌧、5~10台のコンテナを搭載して運航している。小型機は1~2㌧くらいしか積めない▼飛行機のおなかいっぱい貨物を搭載するのが新空港建設の訴えだった。その希望にまだ現実が追いつかない。厳しい経済情勢で市場が大きく変動してきたということもあるが、農水産業には期待を込めたい。もっと頑張ってほしい。(黒島安隆)
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