幼い頃によく聴いたわけでもないのに、なぜか懐かしさを覚える民謡が「あがろうざ節」▼9年前から登野城五町内会が主催する「マフタネーぬアコウ木ぬ下ぬ『あがろうざ節』を唄う集い」が催され、アコウ木をバックに小中学生からお年寄り、今回は北海道や岐阜県から訪れたという愛好者ら21組が思いを込めて歌い上げ、それぞれ個性が表れていた▼登野城村のなかの香ばしい九年母の木(シークヮーサーの木)の下で、子守姉(むらーに)たちが集まり、子守できつくなった腕や腰をかばいながらも、大きくなって立派な人になるんだよ…という愛情深い歌詞が11番まである▼子守唄といえば、古謝美佐子、夏川りみが歌う『童神(わらびがみ)~天の子守唄』が全国的にも有名になった。でも県内各地に子守歌は数多く、八重山にも「あがろうざ節」のほか「ひるの子守唄」「コネマぬ泣くかー」「月夜の子守歌」などがある▼ファームレウタをちゃんと唄える人はどのくらいいるだろうか? とぅぬすくぴとぅ(登野城の人)でも「題名は聞いたことあるが、発祥の地とは知らなかったし歌えない」という人も▼方言や民話、ユンタ、わらべ歌もそうだが、幼子をもつ母親たちに島の子守唄を伝えるために、このような集いや催しは必要だと思うし、各地域で増えてほしい。(辻本順子)
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