7月9日に中央アジアのカザフスタン共和国(首都アスタナ)で開催される「第2回ジュニア世界空手道選手権」に、極真会館沖縄県支部石垣道場の前田島光里(八重山高校2年)が16~17歳・60㌔以上の部に日本代表として出場する。同道場から世界大会出場は2008年の湯本万征以来、8年ぶり。同道場の田福雄市責任者は「湯本の時は沖縄開催で地元枠での出場だった。今回は代表選考で、しかも海外での大会」と目を見張る。初めての世界大会に前田島は「世界で自分の力が、どこまで通用するか試してみたい」と語った。
前田島の体重は通常54㌔。しかし世界大会では60㌔以上の無差別クラス。体の大きな外国人選手と渡りあうためには増量は必須となる。
前田島は「練習後はプロテインを飲んだり、食事も普段の2倍以上は食べている」と話すが、この時期は暑さで一度の練習で3㌔は体重が落ちるという。現在の体重は58㌔。思うように増えない体重に「あと2㌔はほしい。食べるのがきつい」と苦笑いをした。
体重以外にも課題がある。田福責任者によると、国際試合では、観客受けがそのまま審判の判定に影響、派手な大技じゃないと旗が揚がらないことも。そのため普段は大技を使わない前田島は、後ろ回し蹴りや胴回し回転蹴りなどを特訓。田福責任者は「光里のスタイルはボディー狙いなど効かす地味な攻め。大技を取り入れ、もう一回り空手家として強くなってほしい」と期待を込める。
開催地のカザフスタンは東京から約6000㌔の距離。世界大会の話を聞いたときに父親の実さん(40)は「最初は『危ないからダメ』と言っていたが、田福さんから話を聞いてすごいことだと実感した。光里の可能性を伸ばしてあげたい」と5月にはパスポートも取得し、現地で娘をサポートする。さらに話を聞きつけた実さんの同級生らが、泡盛で記念ボトルを製作。資金造成に協力してくれた。
田福責任者が「女空手」と表現するように、暇さえあれば動画サイトで空手の試合をチェックし、同年代の子たちはダイエットに励むものだが、勝つためならと体重を増やす前田島。「走るのも遅いし、学校でも運動音痴と言われている。空手で褒められるのが一番うれしい」と話し、「世界大会出場で、いろんな人が応援してくれている。お金もたくさんかかる。優勝して恩返ししたい」と決意を新たにする。
石垣島からの世界大会出場。優勝すれば具志堅用高以来の世界チャンピオン。大きな外国人を相手に島の女子高生がどこまで通用するのか、夢が膨らむ。