国指定特別天然記念物のイリオモテヤマネコが死んでいるのが5月31日夜、西表島北東部の西ゲーダ付近の県道215号線でみつかった。頭蓋骨を骨折している状況から交通事故死とみられる▼ことしに入ってヤマネコの輪禍は4頭目。昨年1年間の3頭をすでに上回り、事故死が過去最悪だった2013年の6件をも上回るペースだ▼ヤマネコは1965年の発見から昨年で50年。2005年~07年の第4次調査で生息数は100頭と推定されている。生息環境の悪化や交通事故の増加などで数の減少が心配されている▼西表野生生物保護センターのまとめだと、今回の4頭を含めた事故死は、2010年から7年間で26頭。全体の4分の1が事故死したことになる▼関係機関では、ヤマネコの目撃情報が多い区間では、ヤマネコ注意の看板を設置。ドライバーに減速を促すとともに、道路下に「アンダーパス」(動物用トンネル)、道路沿いにフェンスを設けて道路に出ないよう対策を講じているが、事故が後を絶たないのが現状だ▼輪禍が発生するたびに、ドライバーに細心の注意と減速が呼び掛けられる。交通事故がヤマネコを絶滅に追い込んだという歴史を残さないよう、ドライバー個々の責任は重大だ。「ゆっくり走ろう西表路」−。ぜひ徹底を。(下野宏一)
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