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教育に効果大きい自然の力

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■自然体験と学力の関係

  大型連休を子どもたちは、どう過ごしただろうか。町中で見事に日焼けした姿を見かけると、海にでも出かけたのだろうかとほほ笑ましくなる。八重山は海や山、川など自然の宝庫。それらに親しんだり活用したりしない手はない。自然は観光客のためにあるのではなく、まずは私たちのものなのだ。

 内閣府の平成26年版『子ども・若者白書』に「自然の中で遊んだことや自然観察をしたことがある小中学生の方が『全国学習状況調査』での理科の平均正答率が高い」とある。素直にうなずける結果である。自然界に身を置くと何かと対応を迫られ、試行錯誤を重ねる。キャンプでの火おこし、なぜか自分だけ釣れない、森で手に入れた果実は食べられるかどうかなどだ。そういう体験が学習力の養成、向上につながらないはずがないし、理科の学力だけに限らないだろう。自然の懐で工夫したり、見通しを立てたり、耳を澄ましたり、目に映る風物に意識を投影したり、鼻孔を通り過ぎる風にある種の感慨を誘発されたりする経験は、あらゆる学習の糧になるはずである。

■規範意識や意欲・関心も高める

 先の白書には小中学生時代に自然等の「体験が豊富な大人ほど意欲・関心や規範意識が高い人が多い」ともある。こちらもさもありなんである。複数人での自然体験活動では、わがままが通らないことを肌身で知るし、助け合って行動することの大切さを学ぶ。自然の懐で人は内省的になったり慎重になったりするが、そういう心模様も規範意識に向かうのかもしれない。

 意欲・関心が高いのは自然界がナゼ? ドウシテ? といった不思議と魅力の宝庫であることと無縁ではないだろう。そこでは子どもたちはおのおのの宝物に出合うと夢中になって時を忘れる。そんな積み重ねが情緒や感受性を豊かにしてくれるだろうし、それぞれの体験を推進した意欲・関心は水面下で持続し、それらが以後の他の活動にも呼応するのではなかろうか。

  ところでキャンプは規範意識や意欲・関心を高めるのに絶好の体験だが、不自由さや空腹感を味わわせることも有意義だろう。キャンプの思い出が長く記憶されるのは、それらの体験とも無縁ではないだろう。不自由な思いや空腹の経験が想像力を養成、喚起するものであることは間違いない。好き嫌いなく食べることの大切さも教えられる。

■野外活動が目の保養にも

 「2050年は半数が近視に」の見出しの新聞記事があった。「屋外での活動が減り、電子機器の多用など近距離を見詰める時間」が増える影響とある。テレビでも専門医が若者に老眼が増えていると警鐘を鳴らしていた。大変な事態である。人類の英知が試されているときかもしれない。喫緊に有効な手だてが講じられなければならないが、並行して屋外、野外での活動を大いに推奨・推進しなければならない。自然は疲れた目や心をリセットしてくれる。「自然に帰れ」は至言である。

 ビギンの「海の声」が評判を呼んでいる。そこには空の声、海の声、山のささやき、川のつぶやきなどとある。それらは愛しい「君の声」と重なり、「君の声」と同じようにかけがえのないものであるとビギンは歌う。


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