【与那国】島内の湿地帯に自生するヒメガマ(ガマ科)を使って造った「ヒメガマ船」をこいで与那国ー西表間、台湾間を渡る古代人の大航海を検証するため、関係者が連日、町内でヒメガマの刈り取り作業を行っている。
18日は、久部良中学校(東濵一郎校長、生徒13人)の生徒、教諭合わせて21人が総合的な学習の時間を利用し、樽舞湿地で大量のヒメガマを刈り取った。
同事業は、国立科学博物館が日本人の祖先の一部が3万年前に草船で台湾から沖縄・先島諸島に渡った大航海の再現を目指すプロジェクト。手始めに7月中に与那国ー西表間、来年7月に台湾-与那国間で航海が計画されている。
作業前に同プロジェクトチーム代表の海部陽介氏(同館人類史研究グループ長)が同校で講話。生徒らに新たな冒険を熱く語った。 生徒らは鎌を手に長靴を履き、湿地に足をとられながらも、長さ約180㌢、直径約30㌢束のヒメガマを97束刈り取り、軽貨物車5台で学校内に運んだ。校内で天日乾燥させる。
古代船を造る作業に関わることに、生徒らは「昔の人とチャレンジ精神を共有している気がする刈り取り作業は簡単ではなかった」と話した。
知念満教頭は「生徒たちはプロジェクト参加に積極的で挑戦という夢を追う。貴重な体験だ」と期待した。
生徒らも参加する船造りは、冒険家の石川仁さんが来島、指導する。
同プロジェクトでは、同船を3そう造り、そのうち1そうを練習用として6月上旬に完成させてこぎ手が試乗、練習を重ね、7月の航海実験の備えることにしている。
(田頭政英通信員)