長雨による収穫遅れで操業日数の延長を余儀なくされていた石垣島製糖(松林豊代表取締役社長)は23日、今期製糖を終了した。製糖成績(速報)によると、製糖日数、砂糖歩留まり、取引糖度のいずれも過去にない厳しい数値となり、低糖度の影響で農家が受け取る原料代金は前期より8400万円少ない3億6859万円となった。交付金額については現在、集計中。収穫の遅れで春植え、株出しなど来期のサトウキビ生産にも大きな影響が出ているという。
石垣島製糖は昨年12月19日に製糖を開始したが、長雨の影響でハーベスターによる収穫が遅れ、製糖日数は前期より30日長くなった。雨天による休業は前期より15日長い18日。機械刈りは当初70%を見込んでいたが、結果は78.5%となり、天気に左右されやすいハーベスターに頼る傾向が一段と強まった。
日照不足や天候不順により糖度も上がらず、平均糖度は12.38度と13度に届かなかった。これにより生産量に対する砂糖歩留まりは9.38%と低くなった。同社によると、いずれの数値も過去最低。
松林社長は同日夕、工場内で開いた製糖終了式でのあいさつで「かつて経験したことがない状況だったが、石垣島で生産されたすべてのサトウキビを処理することができた。今回のような厳しい気象条件が二度とないとは言い切れない。今後に生かしていけることはないか、みんなで考えていきたい」と述べた。
JAおきなわ八重山地区本部の照屋武美本部長は「低糖度で農家の手取りが減った。低糖度の原因は何か研究機関に調査してもらいたい」と要望。「県、市、石垣島製糖、JAが連携し、来期の増産に向けて取り組みたい」と話した。
漢那政弘石垣市副市長、県八重山農林水産振興センターの新城治所長もあいさつし、関係者の労をねぎらうとともに支援に取り組むことを報告した。