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世界自然遺産登録を急げ

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■今は追い風だが

 平成25年の八重山観光は「南ぬ島石垣空港」開港効果で32%増の94万人を突破。本年も旬の観光地として100万人以上の観光客が見込まれ、当面は順調に推移しそうである。

 石垣市は「地域ブランド力の魅力度調査」で全国市区町村中10位の人気に加え、海外から川平湾が「ミシュラン・グリーンガイド・ジャポン」で三つ星を獲得。世界最大の英語ガイドブック「ロンリープラネット」で八重山諸島がシークレットアイランド部門で世界3位、さらに本年1月には世界的にも影響力が高い「ニューヨーク・タイムズ」紙が本年行くべき世界の観光地52カ所中、石垣島は18位に選出され、関係者を喜ばせた。八重山には今は内外から追い風が吹いている状態となった。

 東京オリンピックが開催される6年後には過密になっている那覇空港の第2滑走路完成が予定されている。完成によって輸送力が飛躍的に増大し沖縄県が目標としている1000万人観光客実現の可能性が高まり、同時に八重山観光もこれまでのシェア実績から150万人観光客時代を迎えることになる。

 石垣港湾整備、ゴルフ場建設、水族館建設など観光インフラの整備、「お・も・て・な・し」のソフト面向上など受け入れ課題は多いが、緊急の課題は八重山の魅力の原点である自然環境保全だろう。多くの観光客が訪れることによって地域の経済力は向上するが、同時に自然への負荷も増加し、対策を放置すれば自然環境が崩壊し、八重山の魅力を一瞬にして失ってしまう。

 

■異常事態宣言

 観光客やレンタカー等の増加に伴い、カンムリワシやイリオモテヤマネコなど貴重な小動物の事故死が頻発している。中でも国の特別天然記念物で絶滅危惧種に指定されているイリオモテヤマネコの場合は深刻で、推定100匹程度の生息数にかかわらず昨年は6件発生、本年はすでに2件が発生し、環境省、西表野生生物保護センターは「異常事態」を宣言、住民やドライバーに注意を呼び掛けている。

 竹富町は注意喚起看板を設置し、パトロールを行うなど一定の努力はしているものの、住民全体で生物環境を守る取り組みが十分とは言い難いだろう。

 

■登録への行動が急務

 平成15年、環境省と林野庁は世界自然遺産候補地に関する検討会で知床、小笠原諸島、琉球諸島の3地域を推薦候補地に選定し、すでに知床と小笠原は世界遺産に登録済みだが琉球諸島は手続きが大幅に遅れている。平成25年1月に関係省庁連絡会議で「奄美・琉球」を暫定リストに登録することを決定し、12月には対象地域を奄美大島、徳之島、沖縄本島北部のやんばる地域、西表島とした。

 今後は保護計画の策定、推薦書の提出等を経て最短で2年後の夏に開催される世界遺産委員会での登録を目指すとしている。しかし八重山諸島での世界遺産登録に向けての取り組みは弱く、行政や議会の行動が見えてこない。

 登録はあなた任せの国の仕事ではなく、経済の原動力である観光と環境を両立させる重要な地域課題であることを深く認識し、速やかに官民挙げて行動する必要がある。


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