離島住民が生活上必要とする食品や日用品などにかかる輸送経費全額を補助する事業が7月から始まる。八重山では竹富町と与那国町が対象。県と町が航路事業者に輸送経費を補助し、離島地域で割高となっている生活必需品の価格低減を図る考え。住民が商品の価格低減を実感できるかどうかが課題となることから、県や町は事業実施と並行して事業効果の実感度調査も行うことにしている。
同事業は、離島の定住条件整備を図るため割高な生活コストを低減することが目的。県地域・離島課によると、2013年度から15年度にかけて南北大東島などで実証事業を実施したところ、本島に比べて平均4割高かった物価が2割前後まで下がったという。
このため県は本年度から離島町村と協調し、対象離島を拡大。本島、宮古島、石垣島から周辺離島に運ばれる食品、衣類、履物、日用品、医薬品など生活必需品を対象に、航路事業者に輸送経費と作業経費を全額補助する。
本年度予算で竹富町は1840万円、与那国町は1092万円、県もそれぞれ同額を確保している。
補助事業は、小売店で販売される商品に適用されることになっているが、町などによると、小売店によっては輸送費を上乗せした商品と、上乗せしていない商品があるとみられることから、対象となる商品の価格がどの程度低減されるか把握しづらいという。
県は航路事業者、登録小売事業者、卸業者、住民など関係者にアンケートを実施して実感度を把握し、今後の事業展開につなげていく予定だ。与那国町も施政方針で「価格低減に対する住民実感度など事業効果の状況を把握しながら事業実施に取り組む」としている。