石垣市内で先日、イワサキクサゼミの初鳴きが観測され、島は一気に夏に向かって走りだした▼郡内各地では入学式が行われ、ピカピカの新1年生がどきどきわくわくの小学校生活をスタートさせている▼外の陽気とは裏腹に今、深刻なのが沖縄の子どもたちを取り巻く貧困問題である。県は新年度から「県子ども貧困対策計画」をスタートさせ、貧困解消に向けて教育、医療、福祉、労働団体を網羅した県民運動として取り組みを強化していく考えだ▼沖縄は1人当たりの県民所得が全国最下位であり、母子世帯の出現率に至っては全国1位。家族と地域とのつながりが希薄となり、核家族や一人親家庭が増加するなど子育てにかかる親の負担は重くなっている。これを一言に親の責任と言うのは簡単だが、現実は周りに頼る人もなく、子どもに十分な愛情や教育を注ぐことができずに苦しんでいる親がいるのだ▼人には迷惑を掛けたくないという親もいるだろう。しかし、話さなければ心を開かなければ分からないことだってある。沈黙することが負の連鎖になるようでは悲しい▼国の礎は教育にありとはよく言われる言葉だ。子どもには希望や夢だってある。前途ある子どもたちの未来を奪わないためにも、子の貧困問題の解決は今、まさに待ったなしである。(鬚川修)
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