【与那国町】与那国町(外間守吉町長)は4日午後6時から町構造改善センターで自衛隊配備関連の住民説明会を開き、町民ら約150人が集まった。外間町長は「有権者の約1割が参加し、十分な説明会になったと思う。今後は合意形成を得られたとして、国と連携して配備に向けて取り組んでいく」と述べ、自衛隊配備に対する合意形成は図られたとの考えを示した。また、オスプレイの配備や米軍との共同訓練については「断固、反対していく構えだが、日米安全保障条約や日米地位協定が撤廃されないと難しい」と述べた。
防衛省は本年度、駐屯地隊舎や敷地造成に向けた実施設計を発注。今後は用地の売却に難色を示している南牧場側との交渉を進める一方、同牧場以外での用地買収を進め、施設整備を急ぎたい考え。
説明会は1時間45分にわたって行われ、陸上自衛隊沿岸監視部隊やその施設の概要、自衛隊配備を踏まえた「新たな与那国の島づくり」、沿岸監視部隊が配備されている北海道の礼文町の様子などについて町側が説明。
外間町長は「配備に伴う形での島づくりをどう位置づけていくのか、皆さんの意見を聞きながら、防衛省への要請などに取り組んでいきたい」とあいさつし、自衛隊配備によるメリットとして▽隊員やその家族が入ってくることによる人口の増加▽スポーツ施設や公的施設の整備▽災害時における協力体制―などを挙げた。
また、「(自衛隊誘致に伴う)デメリットは反対する人たちとの軋轢(あつれき)だと思う」と述べ、自衛隊誘致をめぐって町内が二分されている点に触れ、「今後もねばり強く理解を求めていきたい」と述べた。
会場では、配備に反対する住民が「レーダーの人体への影響はどうなっているのか」「有事の際の町民の安全確保はどうなっているか」「地域振興について国と公文を交わしていない」などと述べた。
一方で、賛成の住民からは「子や孫のため、将来の与那国をどうつくっていくかが大切。そのためにも振興策は重要」「大災害が発生した際、町の消防団だけでは対応ができない」といった意見もあった。
また、町側が説明会を終了しようとしたところ、反対の住民から「説明が不十分」「時間が短すぎる」などの怒号が飛ぶなど、会場は一時騒然とした雰囲気に包まれた。