東京・品川駅で先月、「八重山観光」ポスターを貼った列車を見た。これまでの観光PRは、「石垣島」や「西表島」「竹富島」など、知名度の高い島単位が主流だった▼インパクトに欠くとされていた「八重山」名が、県外で見聞きできるようになったのはうれしい。観光イメージを大きく左右する名称を「八重山」とひとくくりにするのは冒険でもある▼それが出来るようになった。業界にブランド観光地としての自信がついたのだろう。どこかで聞く「3本の矢」の話ではないが、八重山観光は3市町の歴史文化、自然を抜きに語れない。ともに認め合うことで折れず、強さを発揮しよう▼この数年の観光関係者の行動力には感心する。本土各地で積極的に誘客キャンペーンを展開している。参加者らの個人的な経済負担も大変だろう。新空港開港でその努力が実った▼ただ不満点もある。本土や国外キャラバンに積極的な一方で、県内PRはまだ努力不足だ。多くの県民が新空港開港を知っているが、航空運賃を知っている人は驚くほど少ない▼「そんなに安いの?」と聞き返す人が多い。最近、一部航空会社の搭乗率の低さを懸念する声が高まっているが、その一方で、昔から「八重山」と呼ぶ本島地区の潜在需要は高いのである。(黒島安隆)
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