隔世の感がある。竹富町黒島の「牛まつり」のことだ。先月末に行われたこのイベントに、島内外から3500人が参加、多彩な催しを楽しんだ▼実は24年前の初回開催に参加した。港に着くと、4㌧トラックが待っていた。牛の香りが漂う荷台に乗って会場へ向かった。トイレもなく、係員に聞くと、「あの辺でしてください」とやぶを指さす▼船会社がイベントをバックアップし、素朴な島の青年らの手作りイベント感満載。もちろん楽しく一日を過ごしたが、畜産農家をちょっぴり体験したような思い出で、その催しが内外に広く知れ渡るようになると当時は思えなかった▼それがここまで成功したのは、歴代実行委員の知恵と実行力、島ぐるみ取り組みの成果だろう。牛との綱引き、牛1頭が当たる抽選会などどこにもない企画だ。もちろんその裏には、予算が足りずに手弁当で泣いた実行委員もいるはずだ▼黒島の牛まつりの成功は、竹富町内各島を刺激し、影響を与えた。小浜島のちゅらさん祭りや鳩間島や西表船浮の音楽祭などで、島の手作りイベントとして定着した▼しかし、町の最大人口と面積を持つ西表は、行政関連以外のイベントは安定化しない。意欲のある人はたくさんいると思う。一丸となって企画してほしい。(黒島安隆)
↧