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命のとりで・新八重山病院が着工

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■3回目で工事契約

 郡民待望の新県立八重山病院の起工式が平成30年3月の開院を目指して旧石垣空港跡地で行われた。

 現八重山病院は建築後36年が経過し、施設や医療設備の老朽化が著しく、業務に支障を来していたものだが5年余にわたる関係者や「八重山の医療を守る郡民の会」らの要請活動が実を結び、このたびの着工となった。

 敷地や建物は現施設のおよそ1.6倍となる4万平方㍍、建築延べ面積は2.3万平方㍍、NICU(新生児集中治療室)、歯科口腔(こうくう)外科を新設し、24科の診療科、305の病床数となる。

 郡民の会らが要望していた「石垣市立夜間救急診療所の併設」、「がん患者らの高度医療施設の新設」、「許可病床数350の確保」は今回実現出来なかったが、限られた予算の中で、広大な敷地を確保できたことは、増築や建て替えにも対応でき、病院事業局も今後の検討課題としているので離島地域の医療を守るため、引き続きの要請活動が必要になって来るだろう。

■追加工事費は一般財源で

 このところの人手不足や建築価格高騰により、3回目の入札で工事契約、起工式にこぎ着けたが開院までの課題は多い。病院事業局によると発注額は建築、空調、電気、衛生で99.7億円の規模となったが、駐車場、外構工事費、郡外労務費の交通費や滞在費の一部は除外されており、当初予算との差額は10億円から15億円にのぼると予想されているという。

 病院事業局幹部らは、今回の着工に当り、離島地域の医療確保に並々ならぬ熱意で取り組み、本体工事の着手を優先させ、その他は新年度の補正予算を待つ苦肉の策がとられたが、地元行政、議会、郡民はその熱意に感謝しつつ、国、県に対し、新年度の追加予算獲得運動が必要になって来る。

 注意すべきは追加となる工事費は、離島であるが故の増加であり、一般的な工事費と区別する必要がある点だ。

 県立病院の工事費は原則として半分は国費で負担し、残りの2分の1が県の一般会計、残額が病院事業の借金となり、長期で弁済する仕組みとなっていて離島地域を担当する八重山病院の経営に負担を押し付けることがあってはならない。追加工事分が病院の返済を通じて離島住民が負担するということになると都市と離島住民とで医療費の負担の格差が生じ、不公平になることは到底認められず、病院事業が赤字経営に陥ると、最新医療機器の充実や優秀な医療人材の確保に重大な支障が出てくることが懸念される。

■郡民で「癒やしの杜」運動を

 郡民の会らは現八重山病院の地元利用がまだ十分に定着していない現況に鑑み、活性化運動に取り組むほか、地元意識の高揚を図るため郡民一人一人が植栽する「5万本の癒やしの杜構想」を立ち上げようとしていることは時宜を得たものだ。植栽予算で緑化することはたやすいが、郡民の多くがお世話になる施設でもある。個人や企業、団体が記念の植栽を行い、年中緑と花に囲まれ、癒やしの森の中に病院があることが医療の充実につながり防災等圏域の重要拠点に成長していくだろう。


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