石垣市役所の新庁舎建設位置を問う住民投票が7日に行われるのを前に、現庁舎敷地を推す美崎町自治公民館の武内憲治館長と旧空港跡地を推す要請決議を真っ先に行った大浜公民館の當山信佳館長にインタビューし、それぞれの候補地を推進する理由や住民投票の意義、理想とする新庁舎などについて聞いた。(上地矢寸志記者)
【美崎町自治公民館の武内憲治館長】
「人・物が行き交う現状が効率的」
■現状が効率的
旧空港跡地に限らず、新しい場所に庁舎を移して周辺インフラを整えるよりも、港を中心に経済や物流の流れが確立されている現状で、まちづくりを進めるほうが効率的だ。
「市役所はやはり近くがよい」というお年寄りも多い。市民の約7割は海岸線近くに住んでおり、市役所だけが高台に移転していいのか。震災時には被災地の中心で指揮を執るべきだ。
美崎町の再開発について市側は、庁舎の建設位置が決まった後で考えると言っているが、移転するとなった場合、移転先の開発を優先して美崎町の再開発が放置される懸念もある。
■差し戻しに無駄多い
なぜ、住民投票を実施するのか。市議会が主体的に決めるべきことだ。新庁舎建設計画策定委員会の答申を差し戻して住民投票を実施するのは時間的にも費用的にも無駄が多い。
住民投票条例に投票率に関する事項がないことも疑問だ。旧空港跡地に新庁舎を持っていこうとする(議会側の)意図があるように思える。
■「新たな」市役所を
用事を済ませに行くだけの市役所の在り方は古いのではないか。買い物や食事など家族で気軽に行けるような場所として新しい庁舎を建設してほしい。高層階に展望フロアを設け、観光客も気軽に行けるランドマークタワーにすることも含めて考えた方がいい。
【大浜公民館の當山信佳館長】
「広さ十分、車社会へ対応が容易」
■旧空港に十分な広さ
緊急防災・減災事業を活用せずに現庁舎敷地で建て替えることは市民に大きな負担。震災時の液状化を指摘する意見もあり、現庁舎敷地はいずれにしても好ましくない。
旧空港跡地を中心にした将来のまちづくりについては考えていないが、旧空港跡地は十分な広さがあり、車社会への対応が容易だ。現在の美崎町は市役所の庁舎がまちづくりの阻害要因にもなっている面もある。
■策定委答申に疑問
地域意見交換会の中でも広報誌を使ったアンケートでも高台を支持する意見が圧倒的。策定委員会の答申には民意が反映されていない。策定委員は各団体の代表で組織されているが、団体の意見をとりまとめているのかも疑問だ。
これまでは高台移転で当然だという認識が市民の中にあったので庁舎建設の話題は盛り上がりに欠けていたのではないか。策定委員会が高台移転とは異なる答申をしたので、ここにきて一気に庁舎建設の話題が盛り上がり、各公民館も旧空港跡地を推す決議をしていると感じている。
■「低層」望む
現庁舎敷地だと6階建ての庁舎が想定されているが、高層階になると中が見えない、閉鎖的な行政運営になるのではないか。今後の超高齢化社会を見据えて広々とした低層フロアで、開かれた行政運営を図る市役所を望んでいる。