■「地元住民を無視するな」
石垣市議会12月定例会は、石垣島自衛隊配備推進協議会(三木巌会長)から提出された「石垣島への陸上自衛隊配備を求める請願」を総務財政委員会に付託し、11日の最終本会議で同委の申し入れ通り継続審議を決めた。
配備先の候補地に決まった平得大俣周辺の開南、嵩田、於茂登の3公民館長らは生活圏への影響を懸念し、防衛省自らが住民に説明すべきだと訴え、請願を取り扱う市議会には地元を無視した決議はできないはずだとくぎを刺している。
市議会一般質問でも、防衛省は説明会を開くべきだとする声が相次ぎ、中山義隆市長は防衛省に説明会の開催を要請すると応じた。これに対して、防衛省は「この時点において住民説明会の開催および説明(する)内容については未定だが、今後、石垣市ともよく相談しながら検討していきたい」としている。
若宮防衛副大臣が中山市長に示した資料によると、3部隊、500~600人規模。平得大俣の東側にある市有地とその周辺に庁舎、グラウンド、火薬庫、射撃場などを整備する計画である。
■基地面積も公表せず
候補地選定の理由について平得大俣の東側にある市有地、その周辺は石垣島の中央に位置し、平たんで広大な用地を有しているほか、周囲に住宅地がほとんどなく、島民の生活環境を基本的に損なうことなく部隊配置や隊員の訓練が可能であることを挙げた。高台に位置しているため災害時における自衛隊施設の被害を最小限に抑え、警備部隊や増援部隊等による救援活動の基盤となり得ることから選定したと説明している。
しかし、取得用地の規模や範囲面積については示さず、「具体的な検討作業を通じて計画を確定させる」という。候補地選定理由はこんなものだろうか。島しょ防衛、離島奪還作戦など、軍事上の観点から検討して決定したのではないか。
自衛隊の第一任務は国防であり災害救援活動は二の次である。「防衛計画の大綱」や「中期防衛力整備計画」はそのために計画されたものだ。
災害時の救援活動などはソフトに市民感情に訴えるものでしかない。有事の際、いかに市民の生命財産を守るかについては、まったく言及していない。
■土地取得にめどか
配備計画の一般的な流れについては、装備内容やこれに伴って必要とされる隊員数、環境上の配慮を検討した上で候補地の面積などを決定すると言われる。だが、防衛省は候補地を先に公表した。水面下での私有地や市有地の買い上げ、借地のめど付けに自信があることが背景にあるのではないか。
市民に基地面積など肝心な点を公表せず秘密裏に計画を推進するのは、防衛省のおごりではないか。中国脅威論を背景に、自衛隊に理解のある中山市長や市議会与党10人で組織する防衛議員連盟などの存在がこれを助長している節もある。
候補地周辺には牧草地や養豚場、さらにゴルフ場(ショートコース)もある。開南集落からはおよそ500㍍と近距離である。自衛隊配備は、隊員やその家族を含めると約1000人規模と予測するメディアもある。それを目当てのアパート建設の動きも出ている。
自衛隊配備は石垣市の将来を左右する大問題だけに、広く市民への説明が求められる。