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進む教育委員会改革

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■教育改革ラッシュ

 自民党「一強政治」でこれ見よがしとばかりに教育改革が進む。「制度」は時間がたてばほころびが生じたり疲労、疲弊をきたすことは承知している。だが、改革の名のもと、こう矢継ぎ早に法律を改正し、この国のあり方を変えるとなると、戸惑わずにはおれない。もう少し時間をかけ、国民皆してしっかり考えようではないか。

 そのひとつに教育委員会(以下、教委)の改革がある。戦後、わが国の義務教育施策の中核を担ってきた教委。その教委が大きく変わろうとしている。教育は一般行政(政治)から「独立」し、「中立」であってこそ普遍性が維持される。

 人は、人として生きるために正しい道を教えてもらったか。人として生きるために学問によって開発してもらったか。国民が苦難の末獲得した教育の崇高な理念である。そしてそれは不易な存在である。その手法が時の政治状況に左右されるものであってはならない。ましてや「国の関与」が強化されることを懸念する。では、教委改革の問題点はどこにあるのか。市町を例に取る。

 

■首長に最終的権限

 教委は、5人の民間人からなる教育委員(町は3人でも可。そのため与那国町は3人)で構成され合議制をとっている。その委員は議会の同意を得て首長が任命する。いわば地域の代表者である。教育に関する一切の業務や権限は首長部局から独立した教委事務局が担う。しかし人事交流や予算決定権は首長にあるため完全独立の行政委員会にはならない。形式上は教育委員長がトップだが、実質は教委事務局を統括する常勤の教育長に権限が集中する。その教育長を中心にして諸教育施策が展開される。

 今回の改革でこの最終的権限者を首長に移行しようとの考えのようだ。他部局同様に配下に置かれることになる。そうなれば、現在混迷を深めている教科書採択も首長の一声で決まってしまう。全国学力テストの学校別成績公表も首長の意向で決まる。学校統廃合の校区割りにしても同じ。 

 地域の声が教育行政に反映しにくくなり、教委としての専門性が生かされなくなる。政治的中立性が保たれるかも懸念される。国会審議を厚くし議論をもっと深めるべきだ。

 

■専門性を高めてこそ

 そういう状況にあって教育委員はどうあればいいか。ひと頃、教育委員は校長あがりで占められていたが、近年、他分野や職種からも多く任命されるようになった。教育は国民のもの|の視点に立てば適切、妥当な任命と言えよう。そこに政党間の思惑が介在したり、同意に際し議場を退席しては良識が疑われる。

 最終権限者である首長の判断をただしたり抗したりできる識見を持たねばなるまい。そのためには教育への専門性を高め、感性を育てる必要がある。自己の感覚のみに頼り拘泥した論議ほど危ういものはない。

 教委の守備範囲は広い。社会教育、生涯教育、公民館にも目を配らなければならない。文化財にも精通する必要がある。「広角打法」でなければ最終権限者と渡り合えない。


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