昨年11月、小笠原諸島(東京都)近くの海上で海底火山噴火による「新島」誕生が話題になった。そこで不謹慎にもふと思ったのが、わが石垣市にある尖閣諸島が逆に海底に沈没したらどうなるかということ▼年間約100万円の固定資産税が消えるが、何より領有権をめぐり一触即発の危機にある日中対立がこれで雲散霧消。関係国すべてに平穏が訪れるのは確かだろう▼特に年中を通して入れ代わり立ち代わりで尖閣を守ってきた石垣をはじめ全国の巡視船の海上保安官が、中国公船と対峙(たいじ)する緊迫状態から解放される▼財政的にも尖閣警備強化のために計上された6隻の大型巡視船新造や、専従部隊創設に伴う石垣での宿舎建設など230億円の補正予算が必要なくなる▼さらに燃料費など年間2000億円近い海上保安庁予算や尖閣を想定した巨額の離島防衛予算も相当額が浮く。これらを別の東日本や弱者、経済対策などに回せば国民から喜ばれるのは必定▼とこう書くと、愛国心に燃える領土ナショナリズムの皆さんに、また何をふざけた話をとお叱りを受けそうだ▼しかし新年に当たり思うのは、今年は双方が靖国を参拝したり、勝手に防空識別圏を設定したりの挑発をやめ、平和的解決に努めてほしいということ。今の日中は“偶発”が怖い。(上地義男)
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