【船浮】県八重山土木事務所は2014年度から、西表島船浮港の増築事業に着手する。14年度で実施設計を行い、早ければ15年度から整備工事に着手する方針で、地元から要望が強かった係留スペースの拡張や貨物船を接岸する船尾岸(斜路)が整備される見通し。船浮公民館の井上吉晴館長は「船浮地区最大の要望であり、早期着工を願っている」と述べ、港湾整備に一定のメドがついたことを喜んだ。
町によると、船浮地区は13年12月末現在、20世帯38人が在住。ほぼ全世帯で船舶を所有し、遊漁船など約25隻が港を利用する関係で係留スペースが狭く、港湾使用に支障が出ているのが現状。
また、干潮時には大型の貨物船が接岸しても岸壁が高く、荷物を降ろすことができないことから、貨物船の接岸が満潮時に限定され、民間・公共工事の資材搬入にも影響が出ている。
このため、八重山土木事務所では14年度にも実施設計を行い、早ければ15年度から物揚げ場や係留施設の拡張のほか、岸壁を海に向かって傾斜させることで潮の干満に関係なく貨物船から貨物の出し入れが可能な船尾岸などの整備を図りたい考え。
港湾整備に一定のメドがついたことに、井上館長は「船浮は陸の孤島で船がなければどうしようもなく、船を車代わりに使っているため早急に整備してほしい」と工事の前倒しを切望する。
また、地域住民からは「係留施設が狭いために一時的とはいえ、浮桟橋に船舶を係留していることがあり、白浜港への急患搬送に支障が生じることが懸念される。浮桟橋の管理を役場にお願いできないか」との要望も上がっている。
これに町建設課の東船道博昭課長は「浮桟橋は基本的には係留施設ではないということを公民館にお願いしているが、係留施設が狭いために守られていない部分があるかもしれない。その点は地域の協力をお願いするしかない」と理解を求めた。