最近の仲井真知事には非常に複雑な思いをしている。それというのも8年前の就任以来、離島の島々に寄せる思いに深く感謝し、さらに普天間移設でも国に対し、一貫して「県外」を主張する“ウチナーの頑固おやじ”そのものの姿にあつく敬服していたのが、昨年暮れ見事裏切られたからだ▼離島振興では各島の製糖工場を次々建て替え、航空運賃や船運賃を割引、農水産物の本土輸送費補助、児童・生徒支援センター建設などハード・ソフトの各面から本当に良くしていただいた▼無理と思っていた波照間航空路も、知事の肝いりで15年再開が決まるなど、県として当然の声もあろうが、人一倍私たち離島に心配りをいただいた▼しかしオール沖縄で求めた普天間移設では、結局その程度でしかなかった県選出自民国会議員の皆さんと違い、知事は必ず「沖縄の心」を貫き通すと思ったのが土壇場でひょう変、県民をがくぜんとさせた▼人の引き際には「有終の美を飾る」と「晩節を汚(けが)す」がある。知事には沖縄の歴史に残るヒーローとして12月までの任期を光り輝いてほしかった▼それが逆に県議会で県政史上初の辞任要求を決議され、「沖縄を金で売った知事は辞めろ」と怒号を浴びせられている。離島を人一倍思いやる知事には晩節を汚してほしくない。(上地義男)
↧