■東京直行便は好調
本年4月までの八重山観光統計が県八重山事務所から発表された。4月は前年比で98.3%となり、前年実績を下回った。東京方面からの観光客は直行便が健闘、なかでも全日空の最新鋭中型機(ボーイング787)の投入により引き続き好調だが、主力の那覇|石垣路線が低調で国内旅客は4.4%減となった。スカイマーク社が経営破綻し、JAL、ANAグループ2強による運賃高騰の影響が徐々に強まっている。
本年4カ月間の実績はクルーズ船などの就航数増加により2.2%増となったが、本年目標の120万人を達成するには7%以上の伸びが必要で、黄信号がともってきた。
■宮古島の躍進
沖縄県全体では格安航空LCC等の新規参入を受けて累計実績が8.3%増加で順調に推移しているが、中でも宮古島の好調さが目立っている。
宮古島は40万人台の壁を突破できずにいたが、昨年の伊良部大橋開通や冬場の韓国チャーター便ゴルフツアー、フジドリームエアラインズ(FDA・静岡県)の農協観光チャーター便などの追い風を受けて過去最多となる43万人を記録し、本年度は50万人を目指す勢いとなっている。冬場が弱点の八重山観光だが、宮古島は冬場の集客に効果的なゴルフツアーや内外のチャーター便を多数実現し、力を付けてきた。
夏のピークシーズン(夏休みごろ)と冬のオフシーズン(10月~4月ごろ)で2倍以上の開きがある八重山観光だが、本年も2月と4月は前年実績を下回っている。本来観光地の誘致活動はオフ季対策を重点に計画が立てられるべきだが石垣市の場合は常に後手後手に回っていて、年間の平準化を図りながら観光産業の国際的な高度化に成功しているとは到底言えたものではない。
■イベントは継続こそ力
冬場に最も効果的とされるゴルフ場やMICE建設も、まだめどが立たず、1~2月はサッカーのジェフ市原ユナイテッドが南城市にキャンプ地を変更される失敗や、4月はワールドカップ石垣島トライアスロン大会の返上、中断などの影響が強く指摘されている。
来季の農協観光チャーター便も中断の危機にさらされ、大きな課題となっている。農協観光本社によれば「客はあれどもチャーター用航空便が不足し、ツアーが組めない」状況と聞く。まして本年催行したスカイマーク社チャーター便は来年度の見通しが立たない状況にある。FDA社と協力関係にあるJAL本社との調整を官民一体となって、来期も継続できるよう強力に要請活動を行うべきだろう。
一方、28年間も地道に継続されているロマンあふれるイベントがある。愛知県渥美半島観光ビューローと石垣市観光交流協会の「愛のココナツやしの実流し」の交流イベントで今年28年を迎えた。「名も知らぬ遠き島」を石垣島に見立て、石垣島沖から黒潮に乗せたやしの実が伊良湖半島恋路が浜にたどり着くことを願うロマンの旅だ。
ちょっとした発想から始まったイベントだが渥美と石垣島をロマンの古里に仕上げ、全国に発信した功績は大きい。何事も継続が肝心なのである。