安倍政権が一方は大多数の憲法学者らから「憲法違反」と批判され、一方は労働者らから“世紀の悪法”と呼ばれながらも強硬に進める“戦争法案”の「安保関連法案」と、労働者派遣法改正や金を払えばいつでも解雇が可能な「労働法制」は、やはり表裏一体の政策だなと思う▼それは安保法案成立で実際に戦地に行くとなれば、命の危険を感じて自衛隊への志願者が激減▼一方で派遣法改正で若い労働者らを低賃金の非正規などで経済的に追い込んでおけば、これらが過激派組織の「イスラム国」志願兵のように、たとえ危険と分かっていても「特別職国家公務員」の自衛隊に進んで志願するだろうという意味でだ▼安倍政権にとって、これらは使い勝手の良い安い労働力を経済界の要請に応えて十分提供できる上に、民主党が「次の解釈改憲は」と批判する「徴兵制」を発動しなくても自衛官の志願不足を十分に補えるはずだし、まさに“一石二鳥”の法案だ▼しかしなぜこうも子や孫の未来を暗くするような政治がまかり通るのか。それは野党に力がなく、歯止め役を期待された公明も、自民の補完勢力になり「自民一強支配」だからだ▼その自民一強は批判的なメディアを威圧するなど、まさに“おごる平家”であり、「抑止力」は安倍政権にこそ必要だ。(上地義男)
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