大型で強い台風9号が石垣島地方に接近している。最大風速40㍍、最大瞬間風速55㍍と強烈だ。幸い進路が東よりにずれたことで、影響は若干軽減されそうだが住民生活への影響は避けられそうにない▼石垣と各離島を結ぶ離島航路は9日から全便欠航。空の便も午後から航空各社の欠航が相次ぎ、台風の暴風域から抜けるとみられる10日午後にかけ、航空ダイヤの乱れで、観光客を中心とした利用者に影響が出そうだ▼台風接近で気をもんでいるのが農家。特に収穫がピークに差し掛かっているマンゴー農家は戦々恐々だろう。暴風で木が揺さぶられ、果実の落下や、傷などで商品として出荷できない可能性もある▼一年間の収入が7月の収穫期にかかっているだけに、この時期の台風はマンゴー農家にとって大きな痛手だ▼台風通過後も、時期を同じくするパイナップルと合わせて出荷が集中し、輸送面の混乱は必至。長引けば農家にとってはダブルパンチともなりかねない▼一方、干ばつ傾向の中、台風9号がもたらすまとまった雨は救いだ。石垣島地方気象台は、台風9号の接近で300㍉前後の雨量を予想。浸水や土砂災害の危険性があるが、真栄里ダムの貯水率が50%台で低迷し、制限給水の可能性が取り沙汰される中、干ばつの一発解消を期待したい。 (下野宏一)
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