昨年暮れのよもやの知事の埋め立て承認で名護市辺野古の新基地建設をめぐる攻防がいよいよ本格化する。その辺野古の浜を昨年5月、友人ら数人で初めて訪ねた▼そこには「新基地許さない」「宝の海埋立NO」などの横断幕が掲げられたキャンプシュワブのフェンスと沖合に広がるテレビで時折見る静かな海の風景があった▼そこで脳裏によみがえったのが、白保の海を埋め立てて建設することに端を発した新石垣空港建設のことだ。計画から完成まで37年という長い苦闘の末、昨年3月に開港した新空港効果は、既に周知の通り観光客で空前のにぎわいだ▼知事の承認で辺野古の海でも今年から「ジュゴンを守れ」「新基地建設反対」の長い闘いが激化する。新石垣空港は「サンゴか新空港か」で激しく対立した郡民が、最終的に心一つにまとまって外部の圧力をはねのけ、サンゴの海も農地も守って新空港も建設するという偉業を成し遂げた▼しかし、普天間移設は画期的にも「県外移設」で知事をはじめ県内すべての市町村長が“オール沖縄”で初めてまとまったのが、国の差別とエゴでまたも分断された▼郡民が心一つに外圧にも屈せず守るべきを守り造った新空港は、八重山経済に大きな希望と展望を開いている。普天間移設問題もそうありたい。(上地義男)
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