身近な人から、「焼け焦げた米兵に石を投げた」と聞いた。戦時中、撃墜された米軍パイロットを見に、多くの住民が集まって「鬼畜米英」と叫びながら投石したという▼憎しみ渦巻く狂気の世界だ。戦後生まれには想像できないショッキングな事件だが、最近は身震いする残虐な行為がクローズアップされ、国際社会の批判を浴びている。民間人を含め、大勢を次々と殺害している過激派組織「イスラム国(IS)」の狂気だ▼ところが石垣島でも狂った類似事件があった。戦時中に撃墜された米兵捕虜3人を処刑した「石垣島事件」だ。2人を断首、1人を柱に縛って40人余で銃剣で刺し殺したという▼捕虜に関する国際条約を無視して殺害、士気高揚を図った。ISの残虐な行為と変わらない。戦後、処刑を命じた上官7人がA級戦犯として処刑されている▼この事件で、当時少年兵として上官の命令に従って米兵を刺した人は、よく知る人だった。親しかっただけに、その取材は故人になるまでできなかった。一度だけマスコミ取材に応じ、「上官命令は絶対的で戦友のあだを討つ」と興奮状態だったと話している▼戦争の狂気、残虐性はいつの時代も変わらない。それは誰の心にも潜む。観音堂歴史公園内には殺害された米兵3人の慰霊碑がある。今日は慰霊の日。ぜひ足を運んでほしい。(黒島安隆)
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