農薬や化学肥料の使用回数や量を半分以下に抑え、一定の要件を満たして生産された水稲を県が認証する「特別栽培米」で、石垣市白保の通事浩大さん(27)の1期米「石垣島産ひとめぼれ」が18日、認証された。県内では、昨年認証された石垣市新川の花城廣さんに続いて2例目。通事さんは約8㌧の収穫を見込み、7月には東京銀座のわしたショップなど首都圏を中心に埼玉や千葉、福岡県内の大手スーパーなどで販売される予定。通事さんは「ここまで本当に苦労した。他の農家がやっていないことができてうれしい」と話している。
県が示す「特別栽培農産物」の基準は、標準的に使用される化学合成農薬と化学肥料の窒素成分量などを半分以下にするもので、使用農薬や肥料の記録、栽培計画、資格のある第三者の確認などで認証の適否を判断する。
石垣市内では、農産物検査員の資格を持つ㈲山七(那覇市)の山田義哲代表取締役(61)が技術指導を行い、特栽米に適した環境下にある石垣島での普及を計画。
通事さんは白保で2代続く稲作農家で、3年前に家業を継いだ。生産した米の収量と収入が少ないことから、父親の紹介で山田さんと知り合い、昨年11月から特栽米の生産に取り組んだ。
土作りには牛ふんなどの半熟堆肥に加え、米ぬかやもみ殻、鳥骨粉などを使用。これまで化成肥料を500㌔投入していたが、30㌔以内に抑え、肥料にかかるコストカットも実現した。
田植えは2月中旬から行い、植え付け間隔を広げることで苗が密集せず、太陽光を均等に浴びて実がつきやすいように工夫。歩留まりが40%増加した。
通事さんは「細かく収支を計算することで無駄な経費を省けた。山田さんと二人三脚だった」と振り返り、「いい米なので他の農家も取り組んでほしい。今後の収量は50㌧を目標に”超早場”の特栽米を全国にPRしたい」と意気込んだ。
山田さんは大手百貨店や大型店舗に独自の販路を持ち、「超早場米としてのブランドは全国でも高い。農家がバイヤーと直接やりとりして価格を決め、もうかる農家を支援したい」と話している。