■自衛隊の動きも知っていた?
防衛省の左藤章副大臣が、5月11日台風接近の慌ただしい中、宮古、八重山を訪れ石垣市への「自衛隊配備の調査」を中山義隆市長に協力要請した。それに対し中山市長は「国防、安全保障に対しては協力体制をとっていきたい。情報をオープンにしてもらい、市民の声を聞きながら判断する」と述べた。いまさらながら防衛省が「自衛隊配備地候補」の調査とは隠密に検討していたものを公然と要請したにすぎないではないか。
日本共産党八重山郡委員会が入手した資料を基に、防衛省調査資料を分析し4月に発表した。候補地は7カ所に及ぶ。石垣島にはミサイル部隊が配備される予定というが防衛省は公表していない。しかし宮古島同様、地対艦ミサイル(SSM)、地対空ミサイル(SAM)が配備される模様である。
石垣島に配備されるとみられる中距離対空誘導弾(中SAM)は車両に搭載され、射程は60㌔以上だとされる。石垣島には警備部隊の350人を含め550人程が派遣されるようだ。
中山市長は「自衛隊候補地調査」をどう市民にオープンにするというのか。市長は「国防、安全保障については協力する」と述べている。配備を認める発言ではないか。市長の政治姿勢やこれまでの行動からすれば、情報をオープンにとか、市民の意見に耳を傾けるなどというのは、市民を欺く外交辞令にすぎないとしか思えない。
■宮古は想像超える規模に困惑
自衛隊を配備することによって抑止力になるというが、抑止力がやがて戦禍を招いたことは歴史が証明している。軍事基地がいったん建設されると閉鎖するのは難しいことは普天間基地や嘉手納基地の例でも分かることだ。
宮古の計画では「射撃訓練場」「弾薬庫」「着上陸訓練場」などの施設が建設され、想像をはるかに超えた800人もの実動部隊に市民は戸惑っているというのが実情だ。
下地敏彦宮古島市長は議会に4枚の資料を提出しただけで、説明もせず、市民説明会も開催しないと答弁している。議会で多数を占める与党で一気に決議を図ろうという魂胆かも知れない。石垣市が今後、宮古島市のようにならないという保証はない。
宮古島市では先月29日、陸自配備計画に反対する「止めよう宮古郡民の会」を結成し、市に計画されている陸自の配備候補地について説明を受け、署名活動に取り組む方針を確認している。石垣市民が辺野古まで出かけて新基地賛否運動をすることもいいが、自分の足元の重要な問題を忘れてはいないか。
■悪夢の再現あってはならず
23日の「慰霊の日」に向けて石垣字誌編集委員会主催の「宮鳥講座」では悲惨な戦争体験が語られ、八重山平和祈念館では「八重山戦争とマラリア展」、各学校でも平和学習が行われている。
人々は財産を強制的に接収、徴用された。島を守るといった軍隊は住民を戦禍に巻き込み、マラリア地獄へ突き落とした。島しょにおいて戦争や紛争が起きれば住民の被害は計り知れない。
郷土を守る自衛隊という口当たりはいいが、自衛隊は軍隊である。戦後70年、軍隊が配備されるという悪夢の再現があってはならない。