石垣市消防本部(大工嘉広消防長)が5月28日から、川平、伊原間両出張所で行っていた2人体制での急患搬送業務を停止していることが分かった。2人体制の救急業務が消防法に違反するとして県防災危機管理課の改善指導を受けたため。このため、両出張所管内の救急搬送業務は本署から出動する救急車を待たなければならず、今後、病院への搬送時間に影響が出るのではないかと懸念されている。
消防法は救急車1台につき3人以上の救急隊を編成しなければならないと明記。川平、伊原間出張所はこの要件を満たしていなかったため、消防本部は出張所の救急車を急患搬送車として位置づけ搬送業務を実施、本署から同時出動した救急車に途中で乗せ換えるドッキング方式で搬送時間の短縮を図ってきた。
しかし、これが消防法に違反していると、県から28日付で改善を求める通知があった。
両出張所は同日以降、ポンプ車など消防車両に救助資機材を積み込み、現場に駆け付けて救急処置を行い、本署の救急車の到着を待って病院まで搬送する「PA連携」という方法をとっている。
市消防によると、2014年の救急出動件数は2310件で、このうち川平出張所は91件、伊原間出張所は69件となっているが、「PA連携」以降、出張所管内では1日現在、救急搬送事例は発生していない。
両出張所を3人体制にするためには、6人の職員を増やさなければならない。消防庁が示す「消防力の整備指針」によると、市消防職員の充足率は県平均の53.1%を下回る47%となっていて、職員の数も59人と少ない。
大工消防長は「職員が少なく、苦肉の策でやってきたが、法に基づき業務するしかない。予算などもあるので関係部署と相談して改善し、早めに3人体制にしていきたい」と話している。