久しぶりに和式トイレを使った。筋力不足で後ろに転びそうになり、つかむものを探している自分に苦笑した▼設置コストが安く、清掃のしやすい和式トイレだが、公衆トイレからも次第に姿を消しつつある。中学生の父母に聞いた話だと洋式以外で用を足せないらしい。しゃがめないという。このままだと、伝統の和式は21世紀中に消滅するかも知れない▼わが国を訪れる外国人がまず驚くのが、ウォシュレットと聞く。TOTOが販売する温水洗浄便座の商品名だが、他社製の同種類のものも総じて一般的にウォシュレットと呼ばれるほど幅広く定着している▼最近ではカメラや炊飯器などとともに土産で購入する外国人も多い。その種類は数多く、銀座のあるビルで見かけた最先端の洋式トイレは、使用方法が分からず敬遠したほど▼日本人のきれい好きを代表するのがトイレで、かつて、「ふるさと創生資金」1億円を使ってトイレを整備した自治体もある。北海道には大理石張りで、トイレ内に自動演奏のグランドピアノ、鑑賞用の座席も設けてあるところもある▼豪華絢爛(けんらん)の設備は不要だが、メーカーの協力を得て、最先端のトイレを設置するのもいい。外国人観光客も増えており、やり方次第で、大きなビジネスチャンスになるかも知れない。(黒島安隆)
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