6人の子どものうち1人は貧困という今や先進国有数の「子どもの貧困大国」となった日本。その貧困対策に取り組むため安倍首相は先月初め、「子供の未来応援国民運動」発起人集会を開催。基金創設などで子どもたちの未来が、親の経済事情に左右されないような支援を表明した▼しかし自らが小泉政権以降ずっと政権中枢にいて、貧困の最大の要因である非正規雇用拡大など、企業優遇政策で今日の格差社会を築きながら何を今更だが、ただ社会がこの貧困問題に関心を持つきっかけにはなるだろう▼そして対策を言うなら、今国会に提案中の「正社員の道を閉ざし、生涯派遣」の労働者派遣法改正案は即刻取り下げるべきだ▼子どもの貧困に関して社会の認識はまだまだ乏しい。ただ石垣市では生活困窮で就学援助を受けている児童生徒が、昨年度は全体の15%弱720人余もいて、生活保護世帯も加えると、その実態は極めて深刻だ▼県内でも子どもを多く抱えるひとり親世帯支援の「フードバンク」活動や、孤食の子どもの居場所確保の「子ども食堂」開設など、さまざまな取り組みがある▼石垣市も進学支援で母子寡婦福祉会要望の無料塾開設など、格差社会で孤立しがちな生活困窮者に寄り添う独自の「子どもの未来応援市民運動」があってよい。(上地義男)
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