国立研究開発法人国際農林水産業研究センター(JIRCAS)熱帯・島嶼研究拠点(末長一博所長、熱研)で技術専門職員として勤務する島尻勝人さん(52)と識名安輝さん(40)が平張りネットハウスの改良で、文科省の2015年度科学技術分野の創意工夫功労者賞(文科相表彰)に選ばれた。安価で堅固に設置でき、作業性にも優れていることが評価された。熱研からの受賞は11年ぶり3度目となる。
これまでは鉄骨ハウスでマンゴーやパパイアなどの試験栽培を行ってきたが、建設費が高価な上、大きな面積を必要とする熱帯果樹の試験栽培には十分なスペースを確保できず、夏季にはハウス内が高温となって熱帯果樹に障害を与えるなど、研究推進の大きな障害となっていたという。
このため、強風被害を軽減しつつ、露地に近い状態で試験栽培ができるよう、従来から利用されている平張りネットハウスの改良に着手。建築工事用の足場パイプを使って側面を組み、傾斜をつけて強風に耐えられるよう工夫、鉄骨資材の代わりに強靱(きょうじん)なプラスチックワイヤを天井に張って強風対策用にネットをかぶせた。
建設費は一般的な平張りハウスで10㌃当たり約500万円するが、改良ハウスだと200万円以下に抑えられるという。
改良ハウスは2年前に設置され、この間の台風にもハウス内のマンゴーは被害を受けなかった。
識名さんは「最大瞬間風速60㍍でも耐えられる強度がある。汎用性のあるハウスとして使える」と説明、島尻さんは「今後も利用しやすいよう改良していきたい」と話した。
表彰伝達式は21日、熱研会議室であり、JIRCASの小山修理事は「技術専門職員の努力が実を結んだ。今後も工夫し、JIRCASのため、世界の農林水産業のために努力してもらいたい」とたたえた。