石垣市新川奈良佐の観音道線沿いの800平方㍍の畑で、石垣島サンゴウイーク期間中の2月28日に芝浦工業大学の学生らが「サンゴを守ろう ヒマワリ大作戦」として種をまいたヒマワリが、台風6号にも負けず、大輪の花を咲かせている。台風の大雨で表土が流れ出るのを防ぎ、赤土流出防止対策に効果を発揮。道行く観光客がヒマワリをバックに写真を撮るなど、観光にも一役買っている。
ほ場を提供したサトウキビ生産農家の池原吉剋さん(63)=新川=によると、昨年12月に収穫を終え、裸地対策として緑肥作物のヒマワリを植えてもらった。池原さんも、梱包(こんぽう)した葉がらで畑を囲み、二重に耕土流出防止対策を講じた。
ヒマワリは成長し、台風6号前には花を咲かせた。台風6号で倒伏したものの、大きな打撃は受けておらず、池原さんは「数日したら起き上がってくるだろう。ヒマワリは力強い」と驚く。
何より、ヒマワリと葉がら梱包が、畑から表土が流れるのを食い止めてくれたのがうれしい。このほ場は傾斜する農地一帯の末端となっており、梅雨どきに裸地状態だと、大量の土が流れる。「ここは流出がひどいところだが、今回はまったく流れなかった」とあらためて効果を実感した。
ヒマワリなど緑肥作物が耕土流出を防いでくれることは実証されているが、実践する農家は多くはない。緑肥作物が栄養分を吸収して地力の低下を招く、ヒマワリの種から芽が出る、との不安があるのかもしれないという池原さんは「表土流出のほうが損失が大きい。枯れた後にすき込むので緑肥にもなる。ヒマワリの種は緑肥用に処理されており、芽は出ない」と説明する。
ヒマワリが広がる農地は、観光客の目にとまり、撮影ポイントにも。池原さんは「ヒマワリが農家の財産である表土を守り、サンゴを守り、観光の一助にもなっている。いいことずくめ」と話した。