石垣市と与那国町の漁業者が生鮮水産物を本島に出荷する場合、輸送費の補助を受けられるようになる。市と町が一括交付金(沖縄振興特別推進交付金)を活用し、陸路輸送の経費で出荷できるよう空路輸送費との差額分を助成するもの。今月以降、出荷実績に基づき漁協を通して漁業者に支給する。補助額は1㌔当たり、市で67円、町で98円。漁業者は「離島のハンディが克服される」と喜んでいる。
離島では漁獲物を買い付ける仲買人が少なく、市内あるいは町内だけで販売するには限界がある。このため島外に出荷しているが、鮮度を保持する必要から空路に限定されている。県漁連に出荷する場合、地元漁協、県漁連、荷受人に対する手数料に輸送費が加わり、これが漁業者の負担となっていた。
すでに県の農林水産物流通条件不利性解消事業があるため、市と町はこれとすみ分ける形で実施。県は本土出荷、市・町は本島出荷に対して補助することになる。市は年間200㌧で約1300万円、町は約30㌧で約300万円を見込んでいる。
八重山漁協に所属する並里学さん(50)は「離島のハンディは運賃につきる。地元セリが安いときは本島に出したいが、運賃が高くて出せない漁業者もいる。補助が出れば運賃の心配をせず安心して本島に出荷ができる。どこに出荷するか選択肢が広がる」と期待。別の漁業者は「地元セリで扱わない魚は本島に出荷せざるを得ないが、これまで運賃がネックだった。補助があると相当助かる」と歓迎する。
与那国漁協の中島勝治組合長は「空路は陸路と違って輸送費が高くつくので漁業者の手取りも少なくなる。補助がつけばとても助かるし、組合員の士気も上がる。ありがたい」と話している。