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学校教育は壮大なリレー

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 ■休養日の設定を

 新学期が始まり子どもたちは、教室、運動場、体育館で勇んでいる。フェンス越しに子どもが快活に行動している光景を見るのは楽しい。人を育てている・育っているーというすがすがしい教育愛が映る。学校は地域で最も文化的な施設と言っていいだろう。この公共財産を大事に育てねばならない。 

 子どもは、知・徳・体において調和のとれた発達が望まれる。どちらかに偏した教育が施されても全人的な成長は望めない。子どもの日常を見たとき「体」に(主として部活動)重きを置き過ぎているのではないかと思われる。教育行政もそういう認識のようだ。このことについて県教委は昨年10月通知を出し学校を指導している。それによると「翌日の授業への集中」「生徒の心身の負担」に考慮して週1日平日に休養日を設け部活動を休むよう求めた。

 ■学校はもっと積極的に

 通知は、部活動充実のための活動時間の適正化を求めている。子どもたちの部活動への過熱ぶりからするとごく当然なことだ。学校はこのことに対してもっと積極的に対応すべきではないか。むしろ学校自らが動くべきであり自浄能力を発揮すべきだ。

 このことは市議会でも取り上げられた。市教委は「適正化方針」を定め、4月から実施すると答弁。また、スポーツ団体や学校長とも意見交換を行っている。八重山地区PTA連合会も理事会を開き協議している。

 一連の動きは教育行政主導で進んでおり、学校や保護者は積極的でないーの印象を持つ。重ねて言うが、学校は当事者意識を持つべきだ。主導すべき立場にある。県教委の通知は学力向上施策に端を発している。もっと子どもの全面発達の視点から、いわば教育観から説き語らねば、定着したように見えてもいつしか「蟻の穴から堤の崩れ」の例えにならないか気になる。そんな中、石教委は13日市立小中学校校長研修会を開催し部活動時間方針を示した。定着することを願う。

 ■東京五輪を前にして

 東京五輪をにらんで中高生の選手育成が進む。五輪は選手の名誉は当然のことながら国威発揚の場にもなる。五輪での日本選手の活躍を見ると喜びが湧く。それを縮小したものが県選手の、八重山選手の、そして学校代表選手のーということになる。

 生徒たちの活躍は母校愛につながる。部活動における、ほとばしる情熱を過小評価するものではない。生徒指導や助け合い・力を合わせるーなどの徳目の涵養にも効力を発揮する。ここでの主張は、どこまでも子どもに調和のとれた学校生活をーということだ。

 人生には多様な生き方がある。人にはさまざま価値観がある。それを尊重し認めることから教育は始まる。それだけに視野を広げた教育の展開が求められる。そのためには充実した教科指導であるべきだ。それに対して教員は時間と情熱をもっと当てたい。

 学校教育は壮大なリレー。学校という仕組みの中で、子どもたちの未来に向けて小学校から、中学校・高校・大学へと確固とつなげなければならない。


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