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波照間の人口減を憂う

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■人口は500人割れ寸前

 「石垣はこんなに天気いいのになぜ欠航?」と不思議がられるのが、日本最南端の島波照間の定期航路だ。冬場の荒天時ももちろん欠航は多いが、今のうるずんの時期から夏場にかけて、かーちばい(夏至南風)など南風が強く吹くため、晴天なのに石垣から波照間に向かう定期船は向かい風となり、観光客らは船酔いに悩まされ欠航も多い。

 こういう不安定な海上交通も一因で波照間は人口が減り続け、竹富町によるとピーク時の1963年12月、波照間は220世帯で1425人だった人口が、今年3月で274世帯の521人と1000人近くも減り約3分の1に激減した。これに島の人たちや郷友は危機感を抱かないだろうか。

 当時と比べると石垣市以外は軒並み激減した。しかし10年前に比べると竹富は増加し西表と小浜はほぼ横ばい。その中にあって黒島もピーク時の143世帯900人が112世帯195人の4分の1に激減、500人割れ寸前の波照間とともにさらに危機的だ。

■黒島も4分の1に激減

 この人口減に関しては「当時が過剰で今が適正ではないか」とする意見もある。しかし過疎には高齢化が伴うため、それが地域の経済活動や生産、教育、公民館活動などを沈滞化させ、地域の活力を弱めているのは確かだ。

 波照間小は、かつて最高68人(昭和23年生と25年生)の卒業生を送り出すほどにぎやかだった。それが今年の卒業生は小学4人、中学1人だった。

 過疎の最大の要因は島に雇用の場が少ないということ。そのために「15の春」で高校進学を機に家族も一緒に島を離れ、雇用もないため過疎が進行するというのが現状だ。それだけに各島とも過疎・定住対策は重要な課題。特に波照間、黒島はこのままだと近い将来島は存亡の危機に陥りかねない。

 幸い波照間は2007年11月以来閉鎖されていた航空路線が、今年10月から7年ぶりに復活する。19人乗りの小型機が1日2往復するが、航空路線再開をこれ以上人口を減らさない「島再生」と「活性化」の起爆剤にしたい。

■目標は「500人台維持」

 そのためには観光産業に決して否定的になるべきでない。控えめな島の人たちの性格からすれば本土の人たちを相手の観光業は苦手だろう。しかし農業だけで過疎を止められないのは各島の激減した人口が物語っている。

 近年人口が増加した竹富は昨年52万人、横ばいの小浜は18万人、西表は38万人の観光客が訪れ、いずれも観光産業が盛ん。これに対し波照間、黒島も過去最高の観光客だったが、その数は3万4000人と3万人だった。

 波照間も島の町議が中心になり石垣や本島、本土の郷友会の知恵や力も借りて、日本最南端の島の魅力と特性をアピールし農漁業振興にも結び付く観光産業にもっと力を入れるべきだ。  そのためにも今の不安定な海路は観光振興に足かせであり、欠航の少ない大型船の就航は第一義だ。民間が困難なら町に求めたい。当面の目標を今の「人口500人台維持」にすれば活性化への取り組みは十分可能だろう。

 黒島も過疎を止めるため牛まつりに加えて新たな対策が必要だ。


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